HOMENews Release | 第1回アンドレ・アンリ&津堅直弘 トランペットアカデミーレポート  

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アンドレ・アンリトランペットアカデミー2007レポート
超一流ソリストのアンドレ・アンリ氏と日本が世界に誇るオーケストラ奏者、津堅直弘氏が初の正式コラボレーションを果たした第1回アンドレ・アンリ&津堅直弘 トランペットアカデミーが8月17日〜21日まで長野県・菅平高原のホテル・マッキンレーにて開催されました。アンリ氏はソリスト講座を主に担当、津堅氏はオーケストラスタディを担当とお互いの最も得意とする分野のレッスンが受けられるトランペットアカデミー、ともに後進の指導には人一倍の情熱を傾けるアンリ氏と津堅氏だけにとても熱の入った充実したレッスンが5日間繰り広げられました。
アンリ氏のレッスンはお馴染みのグループではあるものの基本的にはソロレッスン。
1人ずつ前に出て、コンチェルトなど課題として持参した曲や教則本をもとにアンリ氏が指導を行う形。他の受講生は教室の出入りも自由に出来る仕組みだが、聞いているだけでもためになるレッスンだけに誰もが真剣に耳を傾け、メモを取りといった様子でレッスンが進行。特に今回は11月に開催される日本管打楽器コンクールの1次予選課題曲P・Gaubertの「カンタービレとスケルツェット」を持参する受講生が多く、作曲者のP・Gaubertと同じフランス人のアンリ氏がコルネットを片手に指導した時間はコンクールに向けて練習を重ねていた受講生にとっては他のどんなレッスンに比べても貴重な時間となったのではないでしょうか。また、ソロレッスン終盤には長尾洋史氏によるピアノ伴奏も付いてのレッスンを展開。サイトーキネンフェスティバルを終え駆けつけてくださった第一線で活躍するプロピアニストとの貴重な演奏経験に受講生はピアニストとのコミュニケーションの取り方を学び、そしてともに音楽を作る悦びも感じることが出来たに違いありません。
グループレッスン、アンリ氏をお手本に 通訳はトロンボーン奏者・小野隆洋氏 歌うことを忘れずに!
姿勢も大事 長尾氏の伴奏とともに
アンリ氏は他にも毎日のウォームアップ、アーバンの取り組み方などを担当。その日の第1音を出すときには絶対に押し付けることなく、無理をせずに唇が自然に振動し、音が出てくるのを待つ。出来るだけたくさんの空気を体の奥深くまで吸い込み、そして暖かな、ゆっくりとした息を正しい方向で流し込むことが重要。アンリ氏が常に唱える「音を作り出すのは体である」を体感し、理解する時間となりました。また受講生2名が先生役・生徒役を経験すると言ったレッスンも実施。将来指導者としての活動を行う際の大きな参考になったに違いなく、また特に先生役を経験した受講生にとっては自身が教える役に回った際に見えてくることもたくさんあったはず。そのようなことに気付かせてくれる貴重な時間となりました。
ウォームアップ、大事なのは
リラックスすること
リラックスして自然に音が出てくるのを待つ 暖かなゆっくりとした息を吹き込むことも重要
アーバンからはじまった
歴史を解説
先生と生徒役レッスン、俯瞰的な視点が大切
 
津堅氏のオーケストラスタディクラスはアカデミータイトルに第1回とあるように今回から初めてカリキュラムに入ったプログラム。グループ分けが終わりオーケストラスタディを最初に学ぶことになった受講生は津堅氏を前にどのようなレッスンが始まるのかと緊張と不安の様子でした。津堅氏より「古典から順番にやっていきましょう、レオノーレ第3番」と演奏上の注意も何も無く全員で吹いた後一人ずつでの演奏。津堅氏からの最初の言葉が「今のがオーケストラのオーディションなら全員不採用です」。早速お手本の演奏が始まりました。今まで演奏会の会場、或いはCDでしか聴いた事がなかった、受講生にとって目の前で演奏されるトランペットの音は音量・アタック・アーティキュレーションなど想像をはるかに超えた物だったに違いありません。
ホール客席やCDで聴こえてくる音量・音形の感覚と実際に演奏する場合の違いに受講生全員驚きの連続でした。津堅氏のお手本を聴いて実践を繰り返し「マーラー5番」を演奏する頃にはオーケストラでの演奏法が何となく理解できたと思われる約8時間のレッスンでした。尚、この時間帯で取り上げられた曲は以下の通り。
ベートーヴェン:レオノーレ序曲、交響曲第3番
ビゼー:カルメン
チャイコフスキー:交響曲第4番 白鳥の湖より「ナポリの踊り」
チャイコフスキー:交響曲第6番 
マーラー:交響曲第5番
リムスキー・コルサコフ:シェエラザード
ムソルグスキー:展覧会の絵
ブリテン:青少年のための管弦楽入門
ラヴェル:ピアノ協奏曲
ラヴェル:ボレロ
ストラビンスキー:ペトルーシュカ
R・シュトラウス:アルペンシンフォニー  他
また津堅氏はアカデミー期間中、特別講座「トランペット秘話」を開催。NHK交響楽団首席奏者としての長年に渡るトップクラスでの経験を惜しげもなく受講生に語ってくれました。学生時代に写譜した手書きの譜面や、信条とする「出来ないところは200回練習」の確認用紙等々、これからプロ奏者として活躍するであろう若い受講生にとっては目から鱗が落ちるような話をたくさん聞くことの出来た有意義な時間となったことでしょう。
津堅氏によるオケスタレッスン 津堅氏によるアンサンブル指導もあった 津堅先生特別講座、貴重な経験談が聞けた
尚、トランペットアカデミー期間中には「受講生に人前で演奏する機会を設けてあげたい」とのアンリ氏の希望もあり、3日目の19日夜に菅平高原リゾートセンターにて入場無料のスペシャルコンサートを開催。アンリ氏と津堅氏がピアノの長尾洋史氏とトランペットヴォランタリーやヴィヴァルディのコンチェルトを、受講生が話題の作曲家話題の作曲家Marcel KENTSUBITSCH(マルセル・ケンツヴィッチ)によるアンサンブル曲やソロ曲を、そして受講生全員とアンリ氏、津堅氏、長尾氏とで大アンサンブルを演奏したりと、多くの地元の方々も聴きにいらしたコンサートは大盛況に終わったのでした。
以下、スペシャルコンサートでの演奏曲目。
Andre TELMAN: CEREMONIAL セレモニアル
演奏/全出演者によるアンサンブル
Jeremiah CLARKE: Trumpet Voluntary トランペット ヴォランタリー
演奏/アンドレ・アンリ&津堅 直弘&長尾 洋史
Georges ENESCO: LEGEND レジェンド
演奏/アカデミー受講生
Marcel KENTSUBITSCH: 「3本のトランペットの為の5つの小品」
Five Pieces for Three Trumpets
演奏/アカデミー受講生トランペットアンサンブル
Antonio VIVALDI: Concerto En Do Majeur
演奏/アンドレ・アンリ&津堅 直弘&長尾 洋史
Marcel KENTSUBITSCH: 「奇想曲」"Capriccio" for The Trumpets 5
演奏/アカデミー受講生トランペットアンサンブル
Joseph HAYDN: Concerto in E♭ major トランペット協奏曲
演奏/アカデミー受講生
Philippe GAUBERT: Cantabile et Scherzetto カンタービレとスケルツェット
演奏/アカデミー受講生
Marcel KENTSUBITSCH: Fantasia for Ten Trumpets
演奏/アカデミー受講生トランペットアンサンブル
Francesco MANFREDINI: Concerto for 9 Trumpets & PiaNo.
演奏/全出演者によるアンサンブル
コンサート前、和やかに記念撮影
スペシャルコンサート、アンリ氏指揮によるアンサンブル演奏 アンリ氏、津堅氏、長尾氏の豪華なトリオ♪ 津堅氏指揮によるケンツヴィッチのFantasia
ラストを飾った全出演者によるアンサンブル
今回のアカデミーを通してアンリ氏はPleasure + Comfort = Emotionと言う言葉を受講生に意識をしてもらうべく何度も繰り返し唱えていました。「悦びと快適さが合わさった時に感情の表現が生まれる」。アンリ氏や津堅氏のような演奏家としても教育者としても一流の音楽家はこのキーワードを無意識に実践出来ているのでしょう。なかなか体現することは難しいものですが、アカデミーに参加した受講生達は少なくともこのヒントだけは掴むことが出来た5日間になったのではないでしょうか。また期間中には6月に結婚をされたばかりのアンリ氏のために受講生が秘密で練習したアンサンブルを演奏するサプライズもあり、講師陣と受講生が一体となったとても温かいファミリー的な雰囲気に包まれた5日間でもありました。アンリ氏が受講生達の温かな祝福に大変な感動を覚えたことは言うまでもありません。
アンリ氏の結婚を祝して受講生からアンサンブルのプレゼント 会場はホテルマッキンレー ホテルマッキンレーのオーナー流石氏と
菅平高原の自然に包まれて
家族のような雰囲気の5日間でした